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| 建物は時代と共に進化しており、近年「オール電化住宅」という言葉はよく耳にするようになりました。私たち設計事務所では、実際設計したGマンションを事例に、独自の観点でありますが「オール電化住宅」について検証し「オール電化住宅」を計画している、又は計画しようかお考えの皆様の参考として少しでも役立てればと思い記載いたします。 |
株式会社 創英設計
[※Gマンション平成14年3月23日 神奈川新聞掲載]
[ 日本工業出版 住まいと電化 掲載予定]
Gマンション(賃貸)※オール電化マンション 平成13年2月竣工
−経緯−
賃貸マンションの一番の良いところは、大きなリスクを負わず入居できることでしょう。最近の分譲マンションは価格が下がったとはいえ、現在の社会情勢を考えると、今まで以上に容易に購入することが難しくなりました。
そんな中、入居者の暮らしを向上させる設備、コストを抑制した中で分譲マ ンション以上のグレードを持つ賃貸マンションとして企画、オーナー及び入居者が抱える安全面での不安や生活ランニングコストを軽減できる「オール電化マンション」を試みることとなりました。
正面道路より外観−西面
外装はタイル張りとし、落ち着きがあり経年後も格調高く保てる様な色合いを選定。全体をナチュラルかつ近代的表情にデザインしています。
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駐車場側より外観−北面
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外部廊下(北側)
北側オーナー住居とマンション居住者のプライバシー保護のため目隠しルーバーを設置しています。
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−建物概要−
鉄筋コンクリート造/地下1階 地上4階
延法床面積 1,618.14u
2LDK+S 53.38u/54.12u 6戸
3LDK 60.18u/62.75u 15戸
3LDK 72.91u 1戸
計5タイプ 全22戸
事業費※税込み
開発工事 2千9百61万円
外構工事 1千5百32万円
建築工事 3億1千4百24万円
エレベーター工事 4百98万円
開発前、敷地は樹木が生茂った山であった。道路との高低さは最大で8Mを超え、極力地形
を生かせる様な計画に設計の難易度は高く、開発にかかる費用も通常より嵩む結果となった。
又、入居者には、高齢者や体の不自由な方など全ての人を対象に考え、5階建てではあるが
エレベーターの設置を計画した。

正面玄関外観 |

エントランスホール |
外観−北西面 |
−私たちが考える賃貸マンションとは−
居住空間は、利用者の誰もが現代生活の利便性を享授でき
少子高齢化社会にはより安全、安心、ノーマライゼーション
化の推進、更に清潔であると共に建物の耐久性、経済性につ
いても、オーナー様は元より入居利用者、共に共有する物で
なければならないでしょう。又大きくは地球環境もグローバ
ル化が進む中、特に高い認識を持ち後世の人に引き継ぐのが
私共設計者の仕事と考えております。
● 環境問題を考えてみる
地球環境への関心や認識も高まり、さまざまな分野においてエコ対応を望まれ、私たちの生活を支えるエネルギー資源にも大きな問題を投げかけています。電気エネルギーはもっとも身近なエネルギー源であり、家電製品は生活の必需品となっていますが、電気とはご存知のように水力、火力、原子力を主に発電供給され、その生産される膨大な電気は蓄えて置くことが出来ません。そのため必要以上の電気の生産削減やクリーンなエネルギー源とは環境問題、資源有効利用のためにとても重要となります。又現在のエネルギー事情では、自然エネルギー源を利用したさまざまな試みや開発が行われており、エネルギー源は今までとは様子の異なる物へ移行しつつあるようです。 住宅のオール電化とは、給湯、調理、冷暖房、照明、動力等暮らしに必要なエネルギーを電化する事と定義され、いいかえればガス等他のエネルギーは利用せず、電気エネルギーのみで生活できる住宅といえます。住宅における年間エネルギー消費量と用途を示すデーターでは、暖房用と給湯用での消費が特に目に付き、その利用の多さが分かります。中でも東京以降南では給湯用の割合が多くなり、以降北では暖房用が多くなる特徴を示します。又エネルギー消費量最大の地域は北海道、最小は沖縄といったデーターもあります。現在は生活の利便性が向上し、給湯はいつでも簡単に湯を使えるセントラル給湯やエアコンなどのマイコン制御の家電は、もはや常識といっても過言ではありません。文明の発展に伴いエネルギー消費量は年々増大していますが、それは生活の利便性を誰もが求めているからだと思います。オール電化をすることにより、家庭レベルでのCO2(二酸化炭素)発生量の縮小が望める反面、今までガス他エネルギーに依存していた分の電気需要拡大に繋がるため、単純には環境問題改善とは判断することはできません。ただ一つ言える事として、各家庭が今以上の環境問題や省エネに対する高い認識を持ち、深夜電力の有効利用や節電を心がければ環境問題の改善は考えられ、オール電化はその選択肢の一つと考えても良いのではないでしょうかもちろん、太陽光発電等との併用を行えばなお改善するのは言うまでもありません。
● コスト面でオール電化と電気・ガス併用とを比較してみる
※注)比較検討のデーターはGマンション(RC造地上5階建て
全22戸)における、室面積約60u(対象家族4人)に
よる試算であり、実際の利用は家族差でも異なるため、数
値はあくまで目安として考えて下さい。又下記の製品代は
定価であり、試算の条件設定は一般電灯、給湯器、調理器
のみによるもので冷暖房にかかる料金等は含まれていませ
ん。
● 経済性
<オール電化想定時イニシャルコスト※時間帯別電灯契約想定>
電気温水器(リモコン、絶縁パイプ、浴槽アダプター共)
計¥396,000(定価)
仕様
三菱自動風呂給湯電気温水器(SRT−3765F200V−BL)
時間帯別電灯対応通電制御 配管内蔵防雨タイプ(減圧弁・逃し弁)
タンク容量:370L
電源:時間帯別電灯対応契約時(単相200V)
定格:最大消費電力5.6kw ヒーター4.4kw 保温1kw
循環ポンプ他120kw
電気調理器 計¥195,000(定価)
仕様
三菱IHクッキングヒーター(CS−B32B)
定格消費電力:単相200V 4.8kw
トップヒーター:左(クイックラジエント2kw)
右(IH2.5kw)
中央奥(クイックラジエント2kw)
ロースター:1.2kw
※オール電化想定時イニシャルコスト 計¥591,000
<電気・ガス併用想定時イニシャルコスト>
給湯器(電気温水器相当程度品) 計¥331,200(定価)
仕様
東京ガス(TP−A824RF−R)
ガス調理器(電気調理器相当程度品) 計¥128,000(定価)
仕様
東京ガス(HR−S763−DP−MCCHR)
※電気・ガス併用想定時イニシャルコスト 計¥459,200
※イニシャルコストはオール電化想定時では10万円以上高くなり
ますが、製品の耐用年数は長く、一般的寿命は15年〜20年と
いわれています。
● オール電化想定時ランニングコスト
夏季(3ヶ月)
一般電力基本料金(時間帯別契約) 月¥2,100
一般電力従量料金 月¥7,468
深夜電力従量料金 月¥2,642 計¥12,210
冬季(4ヶ月)
一般電力基本料金(時間帯別契約) 月¥2,100
一般電力従量料金 月¥9,026
深夜電力従量料金 月¥4,967 計¥16,093
中間期(5ヶ月)
一般電力基本料金(時間帯別契約) 月¥2,100
一般電力従量料金 月¥8,112
深夜電力従量料金 月¥3,662 計¥13,874
※試算上 年間¥170,300 年間/月 平均¥14,200程度
<電気・ガス併用想定時ランニングコスト>
夏季(3ヶ月)
一般電力基本料金 月¥1,092
一般電力従量料金 月¥6,067
ガス基本料金 月¥1,228
ガス従量料金 月¥5,719 計¥14,106
冬季(4ヶ月)
一般電力基本料金 月¥1,092
一般電力従量料金 月¥6,067
ガス基本料金 月¥1,228
ガス従量料金 月¥10,153 計¥18,540
中間期(5ヶ月)
一般電力基本料金 月¥1,092
一般電力従量料金 月¥6,067
ガス基本料金 月¥1,228
ガス従量料金 月¥7,647 計¥16,034
※試算上 年間¥196,648 年間/月 平均¥16,390程度
<ランニングコスト試算条件>
検討システム
電気契約 <オール電化の場合>契約種別時間帯別電灯
(給湯8H通電制御)
基本契約容量 7kVA
給湯契約容量 5.4kw
<ガス併用の場合> 契約種別 電気・ガス併用
基本契約容量 4kVA
※ランニングコストはオール電化想定時では、年間¥26,200
月平均¥2,200程度安くなります。
※結果、オール電化の場合初期設備にかかる費用が大きいが、ランニングコストはガスに対
する費用が不要のため、経済性は良いと考えられる。さらに、製品の耐用年数が長いことから
将来の建物修繕コストの低減も見込めるためコスト面での利用価値は高いと考えられます。
※注)データーは東京電力の試算をもとに作成したものです。
● 電気調理器とガス調理器の安全性を考えてみる
安全性についての見解は、電力会社とガス会社でそれぞれ異なる意見を示しています。ガスは長年の実績をもち、その安全性は現在普及していることが実証済と言われていますが、消し忘れや、調理中のよそ見などにより衣服類を着火させてしまい火傷を負うなどの被害が老人を中心に増加している結果に対し、電気は基本的に燃焼させる機器ではないので、安全性が高いと言われていますが、近年では漏電等による火災事故が報告されています。両者製品の安全性能は、ともに高いレベルにありますが、利用者の使い方次第ではどちらの製品も危険性を拭えないため、安全に対しては今まで通りの細心の注意を払うことが重要です。又、電気製品の漏電に対して、われわれ設計事務所としても、利用者がもっと安全に利用できるようメーカーに提言して行きたいと考えています。
● 電気調理器の性能を考えてみる
オール電化住宅への移行を考える理由の一つに電気調理器があると思います。現在の生活必需品の大半が電化製品であり、CMなどで見る電気調理器製品は装備、機能の充実による魅力が感じられます。
最新の製品は、火力=IHヒーター2.5kw(ガス火力4,600kcal/h相当)の火力を有し、熱効率においてIH=86%、クイックラジエント=75%と鍋に伝える効率が高い(※ガス効率=40%)、そのため調理作業時間短縮によるコスト節減ができます。
IHヒーターとは電磁誘導により調理機材そのものを発熱させるヒーターで、伝熱ロスや発熱による上昇気流がおさえられ、室内空間をよりクリーンに保つことができ、温度制御機能、調理タイマー、切り忘れ防止自動停止機能、なべ無し自動停止機能、高温注意ランプ、耐震制御、ロースター部マイコン自動焼き機能など高いレベルで装備、機能の充実した製品となっています。 しかし、まだまだ改良されるべき点があると思っています。たとえばIHヒーターの場合、電磁波を伝えるられる機材でなければ調理できないため、どうしても土鍋や他の調理機材(アルミ等)を使用したい時にはラジエントヒーター等電磁波以外の発熱ヒーターが必要になります。このラジエントヒーターを継続的に使用していると、ヒーター廻りが輪の様に傷つき黒ずんでしまう点や、衛生、清掃面を考えフラットとした天板にはふきこぼれ防止用の水返しはあるものの、実際のふきこぼれ時では水返しを超え調理パネルにかかることが予想され電気系統損傷や漏電の原因になってしまうなどの問題が、改良されるべき点だと考えています。

※IHクッキングヒーター
火を使わない調理機であり、調理機材を直接発熱させるため上昇気流が小なく、室内空気を汚さないため、キッチン廻りを清潔に保つことができます。
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継続的な使用によりラジエントヒーター廻りに傷や黒ずんだ輪のような跡ができている。この様な点がメーカーに改善を求めたい点です。
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ロースター部に従来の様に水を張らず、魚類をカラッとマイコン自動焼きすることができます。
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● 電気温水器の性能を考えてみる
オール電化住宅で一番不安を感じるのが、ガス給湯器から電気温水器への変更だと思います。以前の電気温水器では、湯が足りなくなる、沸き増しができない、シャワー等の圧力に不足を感じるなどの問題を耳にしたことはないでしょうか?近年まで、私たち設計事務所でも利用者は不便に感じるのではと考えていました。しかし、最近の電気温水器は、これら問題点を改善、克服できる製品へ改良されています。 最新電気温水器の性能を説明すると、深夜電力などを利用しタンクで湯を沸かし本体内部の電動混合弁で水と混合し、リモコン設定した湯温に調整後、蛇口へ供給を行います。供給先は主に浴室、台所、洗面所などで浴室と台所とは異なる湯温に調節することができます。フルオートと呼ばれる製品では、自動湯張り、自動保温、自動足し湯、高温差し湯、セルフクリーニング及び風呂配管洗浄、湯張り予約等の機能があり、マイコン制御の利点を生かした製品となっています。又、従来製品では無かった「追い炊き機能」を持つ製品も登場し、今までのガス給湯器と変わらず利用ができる便利な物へとなりました。
ただ、電気温水器の利用には今までとは多少異なる認識を持たなくては利点を生かすことができません。通常一般家庭3〜5人家族であれば370L〜460L程度の容量の温水時間出しっぱなしや必要以上の過剰な湯利用を行えば、タンク内の湯には限りがあるため、湯は不足してしまい低料金である深夜電力以外で湯を沸かすこととなるため、ランニングコストを低く抑えることはできません。ガス給湯器利用時の様に無制限的な湯の利用感覚とは異なる認識が必要なのです。
※現在では、上記機能を有す高圧力タイプの選定が望ましいと思います。
※電気温水器
深夜電力を利用し給湯機内に湯を沸かし蓄えます。Gマンション
では深夜時間外の沸き増しに対応できるタイプを選定、又マンシ
ョン生活で増加している、いたずら防止や製品保護のため、シャ
フト内に格納しました。
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● まとめ
オール電化住宅は近年急速に増加しています。本来ならば100%の自然エネルギー源を電気利用した生活をおくりたいと考えますが、現在の事情では経済的にもまだまだ各家庭が実現できる範囲ではないでしょう。しかし、生活に欠かせない電化製品の性能や技術は、今後も益々の進歩が期待でき、今回紹介していない深夜電力利用の蓄熱式暖房機や、さまざまな電気利点を生かした新商品が開発途上です。今やもう「オール電化住宅」は特殊な住宅ではなく一般化したと思います。現在の電化住宅には生活での不便は無く、むしろ利便性を向上させるものになるでしょう。
−追記、電化製品以外でも生活レベルや利便性を向上できる製品は、当然ながら数多くあり、決して電化への限定や強制を考えていることではありません。
当社では、建築の事業企画からメンテナンスまで、さまざまな業務を行っております。計画をお考えの際、ご相談いただければ真摯に対応し、きっとお力添えできると思います。
byebye
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